ブレインバンク
ブレインバンクとは
ブレインバンクとは、ブレイン(=脳)のバンク(=銀行、貯蔵所)を意味しています。骨髄バンクや血液バンクなどと同様に、研究に利用するためにヒトの脳を集めて系統的に保管し必要に応じて利用者に提供するシステムであり、医科学研究を支える基盤システムの一つとして重要な役割を担っています。大規模なブレインバンクが活発に活動する欧米諸国に比べて、日本はブレインバンクの整備・利活用が遅れています。
ブレインバンクの活動と役割
ブレインバンクでは、ご遺族から将来研究に利用することの同意を得て、亡くなられた方の脳を収集しています。病理解剖により取り出された脳・神経系を含む組織は、適切な処理が施された後、いくつかの方法により系統的に保存されます。一部の組織を用いて詳細な神経病理学的解析が行われ、病理学的診断が明らかにされます。蓄積された脳組織は将来的に研究者からの要望に応じて医科学研究に提供され、医学・医療の発展に役立てられます(右図)。
ブレインバンクは、また一方で、研究に使用するための死後脳の収集にも力を入れています。患者様や医師、その他の一般の人々に広報活動を行うとともに、JBBNの一部の機関には、ご本人の生前の意思を尊重するために生前の意思表明を登録するシステム(生前登録)が導入されており、亡くなられた後のスムーズな脳の寄託につながっています。
日本ブレインバンクネット(JBBN)の紹介
日本ブレインバンクネット(JBBN)では、国内各地に存在する16のブレインバンクが、国立精神・神経医療研究センター(NCNP)を中心に集結し、共同で活動を行なっています。欧米に比べて遅れをとっている 日本の脳リソースの利活用研究を推進するために、 2016年にAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)からの支援を受けて構築されました。 互いに連携して共同で活動を行うことで 、欧米のブレインバンクに匹敵するレベルのシステム構築、リソース規模、リソース内容の充実化を目指しています。神経疾患に加えて、精神疾患のリソース構築にも力を入れています。